01. 梅酒を構成するのは「梅」「砂糖」「酒」
日本を代表するリキュール、梅酒。梅を酒と砂糖に漬け込み、エキスを抽出することで出来上がる。日本洋酒酒造組合では、梅・糖類・酒類のみを原料とし、酸味料、 着色料、香料を使用していない梅酒を「本格梅酒」と表示する自主基準を設けている。3つの要素で成り立つシンプルな飲み物だからこそ、材料の選び方によって味に差が出る。例えば、使用する梅が青梅の場合はフレッシュで爽やか、完熟梅は芳醇でフルーティーな味に。つくり手のこだわり次第で変化する奥の深い世界なのだ。
02. ベースの酒でこんなに味が変わる
梅・砂糖・酒の3つの要素の中でも梅酒の味を大きく左右するのがベースとなる酒類。自家製梅酒でポピュラーなのがホワイトリカー。ほぼ無味無臭のため梅の味をダイレクトに楽しむのに適している。醸造アルコールベースも梅の味が際立つ仕上がりに。焼酎ベースは米・ 麦・芋・黒糖など原料によって独特の味わいがあり、出来上がる梅酒にも個性が表れる。ブランデーベースはコクがあり、梅の芳醇な香りともマッチ。日本酒ベースは口当たりがまろやかで深みのある味に。最近ではジンベースや泡盛ベースなど個性派も続々と増えている。
03. 江戸時代には飲まれていた梅酒
梅酒の起源については記録が残っておらず、いつ頃から梅酒が飲まれていたかは不明。しかし、江戸時代になると文献の中に梅酒についての記述がたびたび登場する。 人見必大の著書『本朝食鑑』では梅酒の効能やつくり方を紹介。当時は砂糖が高価だったことから、梅酒は庶民よりも限られた人々が飲む嗜好(しこう)品だったと考えられる。 江戸時代後期になると農家で梅の栽培が広まって、梅を加工した梅干や梅酒が普及。当時の農業書によると、農家の副業として梅酒づくりが人気だったようだ。
04. 家庭での梅酒づくりは実は違法だった?
江戸時代に定着した梅酒は家庭でも気軽につくられるようになったが、酒造税法の制定により1899年から自家醸造が全面的に禁止に。ただしその後も家庭でつくられ続けていた実情があり、1962年に酒税法が改正。家庭での梅酒づくりが認められたことで、梅酒をはじめとした 果実酒ブームが巻き起こり、さらに梅酒がなじみ深い存在となった。酒税法では家庭で梅酒をつくる場合、ベースの酒はアルコール分20%以上のものに限られ、自分で消費する(販売や譲渡は禁止)などの規定がある。
05. 飲み方いろいろ 梅酒の楽しみ方
ロックやソーダ割りなどが定番の飲み方だが、バラエティー豊かなアレンジを楽しめるのも梅酒の魅力。例えば牛乳や飲むヨーグルトで割るとまろやかで、酸味のあるラッシーのような味に。梅酒の甘みを抑えたい人にはお茶割りがおすすめ。紅茶やウーロン茶、緑茶、ジャスミンティーなどで割ればさっぱり。ミントやレモンを浮かべたり、アイスクリームやかき氷にかけたりと組み合わせは自由。ただしゴクゴクと飲みやすくなるため、飲みすぎにはご注意を!
Credit:イラスト/ナカオテッペイ 文/越智理絵 資料提供/みなべ町うめ課
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